2011年1月3日月曜日

悲惨な家庭ー7

夏休みが始まった、私はよく母の実家に寝泊りで遊びに行った。従兄弟の私より一つ年下の男の子がいた、その子と遊び廻るのが何よりの楽しみである。このまま此の家に住み就きたいと思う程であった。近くに川幅50メートルぐらいの清流が流れている。今日はその川に従兄弟達私を入れて4人川遊びに行った。その中流に丸い小さな石ころを敷き詰めた様な広い浅瀬ある、漣を立てながら流れる瀬に石でV字型に堰を作り、先に丸い籠をすけて置く。上流 から皆の足で水をかき混ぜ石を投げて魚を追い上げると小魚が籠に入り込む。何回も繰り返し皆が遊び疲れたころには、夕食のたしになるくらいの小魚が取れた。ビー玉遊びや独楽を打って遊んだ。お婆ちゃんはでっぷりと肥えた優しい人であった。お祖父ちゃんは反対に痩せたちょっと怖そうだったが、僕の顔を見ると遊びに来たのか、うんうんと言って頭を撫でて呉れるのであった。従兄弟のお母さんは僕の母の妹である。母に似合わずお人由のとてもいい人である。従兄弟達が嬉々として遊ぶのを目を細めて見ているのであった。幸せいっぱいな生活をしている従兄弟達が羨ましいばかりであった。もう一週間にもなった従兄弟達は宿題を気にしている、永くなっては彼らに迷惑をかける事になる。私の方もあまり永くなったら、兄貴が怒るに決まっている。もっと居たいと思ったが仕方なく帰る事にした。私だって同じ人間なのにどうして境遇が違うだけで、こんなに惨めな思い虐待の苦痛を味わわなければいけないのか、天の神様は私を見捨ててしまったのか、子供ながら嘆き悲しむのであった。従兄弟の父の叔父さんが送ってくれると言うのを断った。もし送ってなど迷惑をかければ、兄貴の怒りはなお一層の爆発をするのである。帰り道は誰も通らない小道を選んで大声で泣きながら 泣きながら帰って行くのであった。西の空には夕焼け雲が桃色に美しく輝いていた。

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