2011年1月5日水曜日
悲惨な家庭ー9
夏休みも終わり近くなった。ツクツクボウシが夏の終わりを悲しむように、かん高い声を張り上げている。少しは涼しく成るかなと思っていたが、まだ残暑厳しく夜は蒸し暑くて眠れたものではない。今日も兄貴と一緒に蚊帳の中で横になっていた、兄も寝苦しいのか寝返りばかりうっている。僕も目は覚ましているものの、ウツラウツラであった。しばらくして突然兄が起き上がり、蚊帳を出ると何かを手にして来て横になった。団扇と棒のようだ団扇でゆっくり扇ぎ出した、僕も其の余り風で心地よく眠り始めた。はっとして目をさましたら、兄が僕を叩き起こしたのである。団扇を僕の手に渡し扇げという、暫らくはゆっくりと団扇を振っていたが眠くて眠くて団扇を振れなくなった。途端に棒切れが腕にびしゃっと音をたてた。腕がしびれる程に痛かった痛みに目を覚まし、また団扇を振り続けるのであった。何回か棒切れが飛んで来た、痛さの涙と眠たさを堪える涙がとめどなく流れた。兄がすやすやと眠りに入ったのは、もう東の空がうす白く成り始めた頃であった。やっと開放され眠りに着いた。何時間寝ていたのかもう家族の者達は朝ご飯を食べ終わっていた、母は私を詰る様に顔をしかめ激しく怒った。兄は言ったこんなに遅く起きると後仕舞をするお母さんが困ると言って私を叱咤した。姉達もそれに同調してまあ少し早く起きるようにしなさいと言った。反論も出来ず御免なさいと頭を下げる他なかった。何時もの事ながら、何で私だけが皆から攻撃叱咤されなければならぬのか、気が弱い私の情けなさを悔やむばかりであった。
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