2010年12月19日日曜日

悲惨な家庭ー2

兄貴は神経質なまじめ一方の賢い学生であった。しかしそれは表面の姿であり、私には残忍でしかも暴力を振るう悪魔の様な姿であった。私は時たま悪童達を連れてはいたずらをして遊んだ。そんな事が彼の耳に入ると、躾けといって殴る蹴るは愚か、首を絞め息が切れそうになると少し緩め又絞めるを繰り返す。死ぬほどの苦しみを舐め体がぐったりした処でやっと開放されるのであった。抵抗しようにも5歳もの差がある力の差は歴然たるものがあった。それを家庭の誰かにでも告げようものなら、それは前にもまして折檻はエスカレートするのだ。その恐ろしさは友達や親戚のもの或いは近所のおじさん達にさえ話す事は出来なかった。一度学校の先生に相談した事があった、幼い子供の事説明の仕様がわるく理解できなかったのであろう。あべこべに兄さんの言う事を良く聞き分けて、真面目に勉強すればきっと可愛がってくれるに違いないと諭された。それからは決して誰にも告白する事はなかった。家の中では何時もうつむき加減で内向的な人間になってしまった。しかし其の反動かどうかは子供の私には解らなかったが、集落の悪童達と遊ぶ時の溌剌とした行動、そして行き過ぎた悪戯は集落の悪評判であった。 

0 件のコメント:

コメントを投稿