2010年12月21日火曜日

悲惨な家庭ー3

家庭の事情は表面的には非常に立派な家庭で、子供は皆学校の成績もよく躾は万全だろうと皆信じていたらしい。私に対してはぐんと評価は落ちるが、そこいらのガキらと比べればまだましだと思っていたのである。兄弟は姉が二人妹が一人と兄貴が居る父母を入れて7人の家族だった。どうしてそんな大勢の家族に兄の虐待を一人も気づかなかったのか、その原因に私の行状があった。当時幼い私には両親の愛情に飢えていたという実感は少しも無かったが、家に居る事は非常に少なかった。学校から帰るとカバンを放り出し、近所のガキ共といたずらや悪さをして歩いた。時には農家の親父らがやれスイカを盗まれたとか葡萄を千切り、さも猿がやってきたように荒らされたと抗議をしに家までやってきた。 其のつど母は自分の給料から何がしの弁償をしていたのであった。そういうときの兄貴の折檻は公然と出来る事をホクソ笑んだ様に見えたのである。お察しのとうり打つ蹴る殴るの暴力、妹は兄ちゃんはひど過ぎると目に涙を湛えていたが、口に出して抗議する事は出来なかった。私は泣きながら耐えに耐え悪かったと必死に謝るが、彼には謝られる事が目的ではない、日頃の家庭内の憂鬱父母の愛情のなさ、彼自身抱えている悩みの吐けどころを私に当たり散らして居るのであろう。狂気の様に暴力を振るう姿は閻魔大王の再現かと思える形相であった。後になって感じた事だが、家庭内の陰鬱さ親の愛情のなさ、母の父に対する嫉妬の激しさは醜い一語に尽きる程であった。兄も其の渦の中に放り込まれ、悩みそして悲しんで居たのかも知れない。兄も一人の被害者であり可愛そうな人であったのかも知れない。

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