2010年12月28日火曜日
悲惨な家庭ー4
夏休みが始まったもう気はそぞろ遊ぶ事に胸はワクワクである。いつもの宿題はそっちのけ近所の遊び仲間と今日の遊びの相談である。そううだなー、今日は向山のため池に水遊びに行こう。池は農業用水につくられた、100メートル直径ぐらいの大きさですり鉢状深さは5メートルぐらいある。一番深いところにコンクリートの柱がある、それに幾つかの栓があって必要に応じて開け閉めをする。何年おきかに全部水を抜く、其のときの魚とりがまた集落の人の楽しみであった。私もタブという網をもって魚を掬って来たものであった。今日は水浴に5,6人の仲間でやって来たのだ。ところがもう先客が来ていた、少し年上の連中である。其の中に運悪く兄貴がいた、日頃めったに集落の連中とは遊ばないのにである。最初は少し離れた処で遠慮がちに遊んでいたが、皆が騒いでいるのに調子に乗って僕も騒ぎ出した。気がついて見ると兄貴が横目でジット僕を睨み付けている。これはしまったと思った時は遅かった。兄貴は素早く僕を捕まえぐいぐいと深みに押し込んでいく。泳ぎは達者な方だったので押し込まれるのはたいして苦痛ではなかった。所が一番深いところに来るといきなり僕の頭を押さえ沈めるのである。もがき苦しむとちょっと手を緩め息をさせるまた沈めを繰り返す、殴る蹴られるより痛くは無いが苦しさは口には言い表すことは出来ない程であった、この世の地獄を味わっているのである。息も絶え絶えぐったりなって、彼も疲れたののかやっと開放された。とても泳ぐ事は出来ない、自然の浮力が人間にはある、おお向けに寝そべる様にしてやっと岸に着いた。それを見ていた年上の連中は、止めるでもなく感心して眺めるのであった。兄貴の教育方法がスパルタ式だからこそ、家庭の立派な躾が出来るのであろうと。
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