2011年2月19日土曜日

混乱した青春ー9

二年生も終りに近づいた、飛行場の作業は一組み単位で一週間交代だったので一ヶ月以上過ぎてやって来た。勉強はあまり好きではなかったのでかえって作業の方が楽しかった。あれから猛者は作業場でも人気者で、半島人の一部は作業が終わって柔道を習いに彼を追っかけていた。一週間の作業が終り授業に戻った日、職員室の窓ガラスに少年飛行兵募集の張り紙があった。早速担任の先生に応募したいと言うと両親の承諾を持って来いと言った。必要用紙をもって父母に承諾を頼んだ。母はすぐ承諾したが父は難色を示し学校に尋ねてからと言った。後で解った事だが、担任の先生は成績は大丈夫だが体格が飛行兵には難しいと言ったそうだ。父親はその事は黙って、合格は難しいが息子の言う事を聞いてやれと思ったのか承諾印を押してくれた。そんな事とは露知らず、幼年学校の二の舞はせぬぞと遊びにも出ず家にこもって猛勉強をした。明日は試験の日になったその晩緊張と興奮で眠れない。時間が経つにつれその興奮が性的興奮に変わった。興奮した奴は盛んに僕の手を要求する心に反して手が動き出したついに掻いてしまったのだ。あくる日だるい体をおして試験場に行った、午前は筆記試験だった容易い試験で小学生の試験の様だった。午後筆記試験の合格者だけが体格試験をした。僕の番にきて試験室に入ると先ず血液を取られた、それから身長体重,胸囲、腕力、背筋力、肺活量を調べて最後に試験管の個室に入り、軍医らしき厳しい医官に質問され、お前咳がでるか、出ません、時々熱が上がるか、上がりません、肺結核になった事があるか、ありません、うんーと医官考えていたがお前の血沈検査がおかしい、すごく下がっている、チョット胸を広げよと言って聴診器を胸に当て聞き取ってた、何にも出ないお前ひょっとしたら昨夜せんずり掻いたのかと言った。図星を突かれ顔が赤くなったが正直にはいと答えた。試験管は厳しい表情になって馬鹿野郎試験の前にせんずりとは試験を何と心得ておる出直して来いとこっぴどく叱られた。ほうほうの体で家に帰った。合格通知は終に来なかった。助平ー小僧の大失敗であった。

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