2011年2月16日水曜日

混乱した青春-5

一年生は無事におわり二年生になった。落第生が二人我がクラスに入った、毎年十人ばかりは落第するそうだ。其の一人腕力の強そうな奴が居た、僕より二つ年上なので背も高く見上げる様な青年に見えた。同級生といっても本当はもう4年生である柔道部だそうだ、柔道初段我が中学校を代表する選手の一員である。全国の中学の中でも二年生の初段は珍しいと言われている。わが校でも段もちは三人程しか居ない、5年生の2段が一人と4年生に初段が一人と二年の彼だけであった。とに角実力の猛者である。其の男僕の何処が気に入ったのか何時も親しげに話しかけてくる。お前柔道部に入れと誘ってきた、兄も中学時代は柔道部だったので柔道着はあった。誘いに乗って部にはいり彼に連れられて先輩部員達に挨拶しに行った、皆揃って新入りを迎えて呉れていた。一年生になったばかりの新入者五人二年生からや上級生の新入者もいた。それぞれ体格の良いがっちりした強そうな奴ばかりである、其の中に細々として背も低く頼りなさそうなひと際見劣る存在の僕が居た。小学生までは背も高く整列する時は一番前に居る程で面構えも根性者だと自負していた。処が中学に入った途端同級生達はズンズンと背が伸び体格も良くなって僕だけが取り残され小さな存在になってしまった。それでも気性だけは荒っぽく小癪な憎たれ小僧になっていた。ある日友人の猛者が今度の日曜日俺の下宿に来いと言った。彼はこの町から20キロぐらい遠く離れた隣村の裕福な農家の息子なのだ。通学するには余り遠いので学校の近くの農家に一室を借りて下宿している。早速日曜日彼を訪ねた、学校から200メートルぐらいの処に農家にしては建て具合がハイカラであった。二階の一室に招かれ彼の部屋に入ると、 壁には色んなポスターが貼られ中に奇麗な女優さんのポスターも有った。彼が前に来るなり町に遊びに行こうといった。彼はもう階段を降りだし早くしろという、アタフタと二人外に出て町の方に歩き出した。町の中央あたり薬局が在った、そこを通り過ぎ街角になったら彼は立ち止まった。小さな声でお前あの薬局で衛生サックを買ってこいと小銭を僕の手に握らせた。衛生サックとは何かと尋ねると、お前サックも知らぬのか顔に似合わぬ阿呆たれだな、と言って股蔵に手をつっこみこ奴に被せるゴム袋だと言った。

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